新・技術情報


サ ンディエゴオーディオ(SDA)では原音に近い音を、自然な音を求めて永年研究を重ねてきました。そして、越えられなかった技術の壁を破り原音に近い音を 再生するアンプの開発に成功し、新しい真空管回路技術で特許を取得しました。このページでは新しい原理特許技術からオーディオアンプの応用回路へと発展さ せた技術内容を紹介します。また、特許技術周辺技術から現在の一般的な管球アンプとの違いも解説していきます。


画像:指田 均様撮影


現代の真空管アンプが抱える課題


真空管アンプは音が柔らかい、透明感があると評価するオーディオファンが多いことは事実です。しかしながら従来型の管球パワーアンプで再生される音は原音に近いかと問えば、答えはNoです。音は人の感覚でとらえるので万人が同じような聴感を持っているとは限らないし、聴き慣れた音を綺麗だと評価する場合もあります。さらに子供の時から聞かされていた音楽が好きという人もいるでしょう。確かに音は感覚であり、人は記憶に残る音を必ずと言ってよいほど持っているものです。俗に言う、お袋の味とおなじようなものであると考えられます。本当に原音に限りなく近い音を再生するには科学的な根拠を基に考察し、実験し、そして検証して初めて問題の壁を破れると考えています。しかしながら、現状における真空管パワーアンプには多くの課題が内在しています。基本的な回路などが進歩しないまま年月が流れてきたと思われます。そして、今の音に慣れ切ってしまい、この音が正しいと思いこんでいると思われます。従来型のアンプの現状を認識し、そこから課題を抽出し、顕在化することから解決策を探す必要があると考えてきました。SDAは考えつく全ての課題から解決策を永年に亘り研究してきました。

課題を明確化し、次いでそれらの解決策を見出しました。現状の課題を下に記述いたしました、ご一読ください。


課題


従来型管球アンプは半導体アンプと比較しても素直で透明感のある音が再生されることは良く知られています。SDAでも多くのA1-S, AB1-PPアンプを制作してきましたので従来型アンプの回路技術とその性能に関しては十二分に熟知しています。現在の管球アンプは何処か原音とはかけ離れた音を再生していると、常に疑問を持っていました。そして、従来型アンプに内在する課題を詳らかにすることで、どうすれば原音に限りなく近い音を再生できるかを考えていきたいと考えています。それらの課題を以下に示します;

  1. OPT内部で発生する位相偏差、
  2. OPTは低音追及の歴史、大きなインダクタンスが必要で結果として自己共振周波数がウーハー領域(150Hz~350Hz付近)に集中している、
  3. OPTのインダクタンスを増やす策としてコイルを沢山巻く必要があり、結果としてOPT一次インピーダンスが高くなる、
  4. OPTの一次インピーダンスが高いことで出力管の出力容量や回路の浮遊容量の影響を受けて高域特性に限界が生じる、
  5. A1シングル・アンプのOPTは一次インダクタンスの影響で磁気飽和を起こすので、それを回避するためにエアーギャップが必須となった、
  6. エアーギャップにより磁気抵抗が増え、切断部より大きな漏洩磁束漏れ出ている、
  7. エアーギャップにより大きな磁気歪が生じ、再生音に大きな歪が生じる、、
  8. パワー管を深いバイアスで使い(AB1-PP)、高電圧を印可し、少ないアイドリング電流で作動させるので出力管の実効内部抵抗(rp)が高くなる、
  9. 深いバイアスを使うので「陽極特性図」で直線性が悪くなり、二次歪が増加した領域を使わざるを得なくなり、出力に歪が多くなる、
  10. 直熱三極管は内部抵抗が低い(600Ω~700Ω)と真空管メーカーのマニュアルを盲信している、結果として、プレート負荷2.5KΩ~3.5KΩを使うことに疑念を持たない、
  11. 多極管にはULを掛けると内部抵抗が下がるのでOPTタップ42%に接続すると性能改善されると信じてタップを使う、
  12. NFBは掛けるものと盲信している、OPT内の大きな位相偏差をNFBすることでアンプ内部は位相変調器(FM変調器)として作動している、
  13. NFBを掛けることで積算効果が働き高域トランジェント特性が劣化している、・・・・(音が丸くなり、柔らかい音がする原因は11)、12)による)

備考:ここで議論している事項はアンプにOPTを搭載している一般的な管球アンプが対象であり、OTLアンプは対象外であることを付記する。